はじめに
賃貸経営を始めたばかりのオーナーにとって、最も頭を悩ませる問題のひとつが「空室」です。せっかく購入した物件に入居者がつかず、家賃収入が途絶えてしまう…。
そんな事態は、賃貸経営に大きな影響を及ぼします。
特に「長期間入居者が決まらない」「気づけば複数の部屋が空いている」といったケースは、不安や焦りを感じやすく、初心者であるサラリーマンオーナーにとって精神的なプレッシャーも大きいもの。
でも、ちょっと待ってください。
実は、空室が生まれる原因の多くは“あるある”な基本的なポイントに潜んでいます。そしてそれらは、事前に知っておくだけで、十分に対策が取れることばかりなんです。
この記事では、初心者オーナーが知っておくべき「長期空室・複数空室のよくある原因」を紹介しながら、“丸投げしない賃貸経営”のための考え方をお伝えします。
長期空室・複数空室のよくある3つの原因
賃貸オーナーとして、自分の物件の「空室」に直面したとき、「自分の物件に何か問題があるのでは…」と不安になるのは当然です。
しかし、多くの場合、空室の原因は以下のような“基本的だけど見落としやすいポイント”に集約されます。
原因1:家賃設定が相場とズレている
近隣の類似物件と比べて、家賃が高すぎたり、割高に感じられる条件になっていないか確認しましょう。
「購入時の収支シミュレーションを守りたい」という気持ちはわかりますが、入居が決まらなければゼロ円が続くという現実も忘れてはいけません。
原因2:物件の魅力が伝わっていない(写真・広告の弱さ)
どれだけ良い物件でも、内見前に「興味を持ってもらえなければ」スタートラインにも立てません。
写真が暗かったり、情報が少なかったりすると、ネット検索段階でスルーされてしまいます。物件の“第一印象”を整えることは、集客の基本です。
原因3:管理会社との連携不足・丸投げ状態
上記と関連しますが、オーナーが物件の状態や入居状況を把握せず、不動産会社にすべてを任せっきりにしていると、改善のきっかけを逃してしまいます。
定期的なやり取りがないと、情報の共有不足が長期空室を生む一因になることも。
それぞれの原因に対しての向き合い方
空室の原因が見えてきたら、次は「どう対応すればいいのか?」という実践フェーズです。ここでは、賃貸経営の経験が少ないオーナーでもすぐに取り組める改善ポイントをそれぞれ紹介していきます。
家賃の見直しは「相場比較」だけじゃない
周辺相場と比較して高すぎる場合はもちろん調整が必要ですが、それだけでなく「その家賃に見合う価値があるか?」という視点も大切です。
たとえば、同じ家賃でも築年数・設備・駅からの距離などの条件が異なれば、入居者からの印象は大きく変わります。
必要であれば、一時的にフリーレント(入居初月無料)などのキャンペーンを取り入れるのも有効です。
募集の工夫は「どこに・どう載せているか」もチェック
写真のクオリティや部屋の印象だけでなく、物件情報がどの媒体に、どのような形で掲載されているかも重要なポイントです。
賃貸物件の集客は、いまやほぼネット経由。「スーモ」「ホームズ」などの主要ポータルにしっかり掲載されているか?間取りや周辺環境が丁寧に説明されているか?
こうしたチェックをオーナー自身が行うことも空室対策の一部です。
管理会社との関係は「任せる」ではなく「連携する」
「管理会社に全部任せているから大丈夫」と思っていても、物件の状況や入居の反応が、オーナーに対し、適切にフィードバックされていないことはよくあります。
最低でも月に1回は連絡を取り、募集状況や問い合わせ数、内見の有無などの情報を共有してもらう仕組みをつくりましょう。
信頼関係を築くことで、管理会社もより積極的に提案してくれるようになります。今のご時世ですので、管理会社の担当者に高圧的な態度で接すると、「うるさいオーナー」のレッテルが貼られ、嫌われたり萎縮したりするので、良い結果になりにくいです。
対等なビジネスパートナーとしての立場を意識した接し方をするように心がけることで、先方も、より空室対策に力を入れてくれることでしょう。
空室リスクを防ぐ!オーナーとしてできる準備とは?
空室が発生してから慌てて対策を練るのではなく、「そもそも空室が起きにくい状態をつくる」というのが、賃貸経営を安定させる上での理想的な考え方です。
ここでは、初心者オーナーでもすぐに始められる「空室リスクを減らすための準備」を3つご紹介します。
1. 入居者目線で物件をチェックする習慣を
物件の状態は「自分が慣れてしまっている」ことで見落としがちです。
定期的に内装や共有部をチェックし、「もし自分が住むならどう感じるか?」という視点で見ることが大切です。
たとえば、エントランスが暗い、郵便ポストが古い、共用部の掃除が甘い、植栽が生い茂って鬱蒼としている……など、小さな改善で印象は大きく変わります。
2. 管理会社との情報共有をルーティン化する
「何かあったときに連絡をとる」のではなく、月1回の状況確認をルール化してしまいましょう。
- 空室期間の長さ
- 内見の件数
- 反響の内容(どんな点がネックか?)
など、簡単にヒアリングするだけでも、次の手が打ちやすくなります。
管理会社にとっても「ちゃんと状況を気にしてくれるオーナー」という印象が伝わり、より丁寧な対応を引き出しやすくなります。
3. 近隣物件の動向を定期的にウォッチ
ポータルサイト(SUUMO、HOME’Sなど)を使って、自分の物件と似た条件の部屋がどうなっているかを定期的にチェックする癖をつけましょう。
- 家賃が下がっていないか
- リフォームされていないか
- フリーレントやキャンペーンが増えていないか
などを観察することで、市場の動きに乗り遅れず、適切な対策を打つ判断材料になります。
“周辺の変化に気づける力”は、空室対策の重要なスキルです。
空室対策は基本が大事!
賃貸経営において、空室は避けて通れない「デフォルトの現象」のひとつです。
ただ、長期にわたる空室や複数部屋が空いてしまう状況は、賃貸オーナーにとって大きなストレスとなるでしょう。
しかしこの記事でご紹介したように、空室の長期化や複数化が起きる原因の多くは、「家賃設定」「物件の見せ方」「管理会社との連携」といったことの欠如が原因です。
そして、これらは事前に知っておくだけで、十分に対策を立てられる内容ばかりです。
また、空室対策において最も大切なのは、「不動産会社に任せる=丸投げ」ではなく、“パートナーとして協力していく”というスタンスを持つこと。
管理会社としっかり情報共有を行い、自分の物件が今どのような状況にあるのかを把握し、それをどうしてほしいかの意思疎通ができることが、賃貸経営の安定につながります。
空室の原因は、決して難解なものばかりではありません。だからこそ、賃貸経営を始めたばかりのサラリーマンオーナーでも気づき、改善できる余地がたくさんあるのです。
まずは一歩、今日からできる「気づく」「聞く」「調べる」ことから始めてみませんか?その一歩が、安定した賃貸経営の第一歩になります。
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